「結婚できない」のは誰の問題?─『ウチの子の、結婚相手が見つからない!』が問いかける"幸せ"の本質
はじめに
初めまして、Wiseです。(私のプロフィールはこちら)
「うちの子は真面目だし、仕事も安定している。それなのに、なぜ結婚できないのだろう?」
そんな悩みを抱える親は少なくありません。近年では、親同士がお見合い相手を探す「代理婚活」という言葉も珍しくなくなりました。
しかし、本当に問題なのは「結婚相手が見つからないこと」なのでしょうか。
『ウチの子の、結婚相手が見つからない!』(石川結貴著)は、代理婚活に参加する親たちへの取材を通じて、日本社会に広がる未婚化の背景や、親子それぞれが抱える価値観のズレを描いたノンフィクションです。
本書を読み終えたとき、私が感じたのは、「結婚とは何か」という問い以上に、「幸せとは何か」を考えさせられる一冊だったということです。
本書の内容
「普通の相手でいい」という言葉に潜む思い込み
代理婚活の場では、多くの親が「普通の相手で十分です」「高望みはしていません」と口にします。
しかし、その「普通」とは何を意味するのでしょうか。
実際には、学歴や職業、年収、家庭環境など、親自身の価値観を基準にした「普通」であることが少なくありません。
つまり、「普通」という言葉は決して中立ではなく、親それぞれの人生観や理想像が色濃く反映されたものなのです。
本書は、「高望みしていない」という言葉が、実は無意識のうちに相手を選別する発想につながっていることを鋭く指摘しています。
親が婚活しても、問題は解決しない
代理婚活に集まる親たちは皆、「子どもの幸せを願う」という共通の目的を持っています。
ところが、互いに「自分の子どもにはもっと良い相手がいるはず」と考えてしまうため、話は平行線をたどります。
相手に理想を求める一方で、自分や我が子を客観視できていない。
そんな親たちの姿は決して特別ではなく、多くの人が陥りやすい心理なのだと感じました。
本書は、「我が子は本当にそこまで特別な存在なのか」「自分自身はそれほど立派な人間なのか」と、自分を見つめ直す視点を与えてくれます。
選択肢が多い時代だからこそ、決められない
婚活アプリや結婚相談所の普及によって、出会いの機会はかつてないほど増えました。
一見すると恵まれた環境ですが、本書では「ジャムの法則(決定回避の法則)」が紹介されています。
人は選択肢が増えすぎると、「もっと良い相手がいるのではないか」と考え、かえって何も選べなくなるという心理です。
婚活もまさにその状態で、条件を比較し続けるうちに、目の前のご縁を逃してしまうことがあります。
条件では測れない「夫婦」という関係
婚活では、学歴、年収、年齢など数値化できる条件が重視されます。
しかし、現実の夫婦関係はそんな条件だけでは決まりません。
笑い合う日もあれば、傷つけ合う日もある。
期待することもあれば、あきらめることもある。
夫婦には、その二人だけにしか分からない歴史や空気感があります。
同じ形の夫婦が存在しないように、「誰と結婚すれば幸せになれるか」という唯一の正解も存在しません。
結婚だけが幸せではない
本書で最も印象に残ったのは、「未婚は自己責任」とされがちな現代社会への問いかけです。
経済的不安や将来への不透明感の中で、結婚を選ばないことは、一種の自己防衛でもあります。
だからこそ、「結婚しているかどうか」で人生の価値を判断することには意味がありません。
誠実に生き、思いやりや感謝を忘れず、家族や友人とのつながりを大切にする。
たとえ結婚しなくても、その人らしい幸せは十分に存在します。
本書は、「幸せは誰かにしてもらうものではなく、自分自身の心の中にある」という、ごくシンプルでありながら本質的なメッセージを伝えています。
おすすめする理由
① 結婚を「条件」ではなく「価値観」から考え直せる
婚活のノウハウ本ではなく、「結婚とは何か」「幸せとは何か」を根本から問い直してくれる一冊です。
条件ばかりに目が向きがちな現代だからこそ、本当に大切なことに気付かされます。
② 親にも子どもにも読んでほしい
親世代は「子どもの結婚」に対する思い込みを見直すきっかけになります。
一方で、婚活に悩む当事者にとっても、「結婚できない自分」を責める必要はないと教えてくれる内容です。
親子で読めば、お互いの立場を理解する助けにもなるでしょう。
③ 人生全体の幸せについて考えさせられる
本書のテーマは結婚ですが、本質は人生論です。
家族や友人とのつながりを大切にし、小さな幸せに感謝すること。
その積み重ねが、自分らしい人生につながることを静かに教えてくれます。
まとめ
『ウチの子の、結婚相手が見つからない!』は、代理婚活を題材にしながら、「結婚できるかどうか」という表面的な問題ではなく、「幸せとは何か」という普遍的なテーマに向き合った一冊です。
本書を通して強く感じたのは、「こうすれば結婚できる」という万能な答えは存在しないということでした。
だからこそ、一つひとつのご縁を大切にし、身近な家族や友人への感謝を忘れず、人とのつながりを育んでいくことが何よりも重要なのだと思います。
そして、結婚は幸せになるための"条件"ではありません。
幸せは「なるもの」「してもらうもの」ではなく、自分自身の心のあり方によって育まれるものです。
婚活に悩んでいる人はもちろん、子どもの将来を心配する親や、「人生の幸せとは何か」を改めて考えたい人にも、ぜひ手に取ってほしい一冊です。



