お金の不安という幻想―「もっとお金があれば安心」は本当なのか?
はじめに
初めまして、Wiseです。(私のプロフィールはこちら)
「もっと貯金があれば安心できる。」
私も以前は、そう思っていました。
物価は上がり、将来の年金にも不安があり、「資産運用を始めよう」「もっと収入を増やそう」という話題を目にしない日はありません。
もちろん、お金は生きていくうえで欠かせない存在です。しかし、お金が増えれば本当に不安はなくなるのでしょうか。
今回ご紹介する『お金の不安という幻想』(田内学著)は、その問いに真正面から向き合った一冊です。
読み終えたあとに感じたのは、「お金の本」というより、「これからの時代をどう生きるか」を考えさせてくれる本だということでした。
もし将来への漠然とした不安を感じているなら、この本はきっと新しい視点を与えてくれるはずです。
本書の内容
お金が欲しいのではなく、「安心」が欲しい
本書で最も印象に残ったのは、
「お金の不安」とは、「変化する社会をどう生き抜くか」という不安である。
という考え方でした。
私たちは「もっとお金があれば安心できる」と考えがちです。
しかし実際には、お金が増えても、また次の不安が生まれます。
- もっと貯めなければ…
- もっと投資しなければ…
そんな終わりのない不安を、資本主義という仕組みは自然と生み出しています。
つまり、私たちが本当に求めているのはお金ではなく、「これからも生きていける」という安心感なのです。
だからこそ著者は、生き抜くための戦略として、次の4つを提案しています。
- 情報を整理する
- 支度をする
- 現実を直視する
- 仲間と協力する
「お金を増やす方法」ではなく、「人生を生き抜く方法」を教えてくれるところに、本書の面白さがあります。
他人のモノサシではなく、自分のモノサシを持つ
本書では、「使用価値」と「交換価値」という考え方も紹介されています。
簡単に言えば、
- 交換価値は「いくらで売れるか」
- 使用価値は「自分がどれだけ満足できるか」
という違いです。
例えば、
「誰にも見せないなら、そのブランド品は買わない。」
もしそう思うなら、その買い物は自分のためではなく、他人からどう見られるかを基準にしているのかもしれません。
私はこの部分を読んで、「安心も幸せも、自分の基準で考えなければ手に入らない」ということを改めて実感しました。
SNSで誰かと比較してしまうことが当たり前になった今だからこそ、心に留めておきたい考え方だと思います。
投資は「誰かの挑戦」を応援すること
新NISAの影響もあり、「投資を始めよう」という空気はますます強くなっています。
本書は投資を否定しているわけではありません。
むしろ、「本来の投資とは何か」を教えてくれます。
著者によると、投資で得られる利益には、
- 誰かの役に立った結果として生まれる利益
- 他の投資家がお金を出してくれることを期待した利益
の2種類があります。
この違いを理解することが、投資とギャンブルを見極めるポイントになります。
私は、「誰かの役に立つ挑戦を応援することが投資」という考え方が、とても腑に落ちました。
数字だけを見るのではなく、その会社がどんな価値を生み出しているのかを見ることが、本来の投資なのだと思います。
人生で本当に増やすべき資産とは
本書では、人生には3つの資産があると紹介されています。
- 人的資本(知識・経験・スキル)
- 社会関係資本(家族・友人・仲間・信頼)
- 金融資本(お金)
私たちはつい金融資本ばかりに目を向けがちです。
しかし、仕事で困ったときに助けてくれるのは、お金よりも経験だったり、信頼できる仲間だったりします。
その意味で、人的資本や社会関係資本は、お金以上に価値のある資産なのかもしれません。
また著者は、「観察力」の大切さにも触れています。
相手の悩みに気づき、小さな気遣いを積み重ねることが、信頼につながる。
派手ではありませんが、こうした積み重ねが人生を支える資産になるという考え方は、とても印象的でした。
未来を豊かにするのは「挑戦」への投資
本書の後半では、日本社会についても語られています。
その中で印象的だったのは、
「給料が上がってきた本当の理由は、高価な商品を作ったからではなく、効率化によって仕事を減らしてきたから」
という指摘です。
つまり、社会を豊かにしてきたのは、「もっと働くこと」ではなく、「より少ない労力で価値を生み出す工夫」だったということです。
だからこそ、未来への投資とは、新しい価値を生み出す挑戦を応援すること。
個人としても、「どうすればもっと役に立てるか」を考え続けることが、自分自身への投資になるのだと感じました。
おすすめする理由
この本をおすすめしたい理由は、大きく3つあります。
① お金への見方が変わること
「もっと稼げば安心」という考え方から一歩離れ、「何が本当の安心なのか」を考えられるようになります。
② 投資を見る目が養われること
流行や値動きだけではなく、「誰の役に立っているのか」という視点で投資を考えられるようになります。
③ 人生の優先順位が整理できること
人的資本や社会関係資本の重要性を知ることで、「何に時間を使うべきか」が少しずつ見えてきます。
キャリアや資産形成を考え始めるタイミングの方にはぜひ読んでほしい一冊です。
まとめ
『お金の不安という幻想』を読んで感じたのは、お金は人生を豊かにするための「目的」ではなく、「手段」なのだということです。
もちろん、お金は大切です。
しかし、お金だけを追い求めても、不安は次々と姿を変えて現れます。
だからこそ本当に増やすべきなのは、お金だけではありません。
知識を身につけ、自分にできることを増やし、信頼できる仲間とつながり、誰かの役に立つ挑戦を続ける。
その積み重ねが、結果として人生の安心につながるのだと、本書は教えてくれます。
私はこの本を読んで、「資産形成」とは金融資産を増やすことだけではなく、自分自身という資産を育てることでもあると考えるようになりました。
将来への不安をゼロにすることはできません。
それでも、自分のモノサシを持ち、目の前の挑戦を積み重ねていくことはできます。
そんな前向きな一歩を踏み出すきっかけを与えてくれる一冊でした。


