【完全独学】FP1級・合格体験記
はじめに
初めまして、Wiseです。(私のプロフィールはこちら)
私は2025年5月開催のFP1級学科試験(きんざい)と2025年9月開催のFP1級実技試験(日本FP協会)を受検し、完全独学でFP1級試験に合格しました。
この記事では、完全独学での合格体験記を紹介していきます。
FP1級が気になっている人、受検しようか悩んでいる人、どう勉強していけばよいか困っている人のヒントになれば幸いです。
※本ページはプロモーションが含まれています。
FP1級の概要
ファイナンシャル・プランニング技能検定(以下FP検定)は、職業能力開発促進法に基づく国家検定です。
「一般社団法人金融財政事情研究会(きんざい)」と「特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)」の2つの団体が検定を実施しています。
FP1級では、学科試験は「きんざい」のみ実施しています。
実技試験は「きんざい」と「日本FP協会」の両方が実施しています。
学科試験と実技試験の両方に合格すれば「1級ファイナンシャル・プランニング技能士」の国家資格を取得することができます。
試験概要
「学科試験」と「実技試験」を受検し、その両方に合格することが必要です。
学科試験
学科試験はきんざいのみ実施しています。基礎編と応用編を合わせて6割以上の点数で合格となります。
・合格基準:120点以上(200点満点)
・年3回開催(5⽉、9⽉、1⽉)
・費⽤:8,900円
基礎編
・試験時間:150分
・出題形式:マークシート方式(4択)
・出題数:50問
応用編
・試験時間:150分
・出題形式:記述式(事例形式)
・出題数:5題
基礎編は4択のマークシート方式です。
過去問から逸脱した重箱の隅をつつくような問題が出題されると言われています。
応用編は記述式ですが、文章を書くわけではなく、基本的には単語や数値を記入する程度のものです。
ただし、大問1題ごとに計算過程を書かせる問題が出題されます。
過去問を踏襲した出題が多いため、過去問の出題形式に慣れることが重要です。
合格ラインの得点イメージは、基礎編で50点、応用編で70点と言われています。
実技試験
きんざいでは面接形式、日本FP協会では記述式の実技試験を実施しています。
きんざいは年3回開催していますが、日本FP協会は年1回開催となります。
きんざいと日本FP協会のいずれも6割以上の点数で合格となります。
きんざい
・試験時間:1回約12分
・出題形式:口頭試問方式
・面接回数:2回
・合格基準:120点以上(200点満点)
・年3回開催(6⽉頃、9⽉頃、2⽉頃)
・費⽤:28,000円
日本FP協会
・試験時間:120分
・出題形式:記述式
・出題数:20問
・合格基準:60点以上(100点満点)
・年1回開催(9⽉)
・費⽤:20,000円
試験範囲
学科試験
- ライフプランニングと資金計画
- リスク管理
- 金融資産運用
- タックスプランニング
- 不動産
- 相続・事業承継
実技試験
資産相談業務(きんざい)
- 関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング
- 顧客のニーズ及び問題点の把握
- 問題解決策の検討・分析
- 顧客の立場に立った対応
資産設計提案業務(日本FP協会)
- 関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング
- 顧客データの収集と目標の明確化
- 顧客のファイナンス状況の分析と評価
- プランの検討・作成と提示
法令基準日
FP検定には以下のとおり「法令基準日」というものが定められています。
試験開催日に応じて、既に施行されている法令を基準に試験問題が作成されます。
そのため、中古で参考書を購入するときは、最新版を購入した方が安心です。
また、合格後に参考書をフリマサイトで売却する際には、最新版のうちに売りに出すと比較的高値で売れます。
なお、きんざいの実技試験(面接形式)では、試験日現在施行の法令等に基づいて回答するよう指示があります。
・5月開催:前年の10月1日
・9月開催:同年の4月1日
・1月開催:前年の10月1日
受検資格
FP1級には学科試験と実技試験それぞれに受検資格が設けられています。
学科試験
次の1~3のいずれかに該当する方が受検することができます。
- FP2級技能検定合格者で、FP業務に関し1年以上の実務経験を有する者
- FP業務に関し5年以上の実務経験を有する者
- 厚生労働省認定金融渉外技能審査2級の合格者で、1年以上の実務経験を有する者
実技試験
次の1~4のいずれかに該当する方が受検することができます。
- FP1級学科試験の合格者(合格日の翌々年度末まで)
- きんざいのFP養成コース修了者でFP業務に関し1年以上の実務経験を有する者(修了日の翌々年度末まで)
- 日本FP協会のCFP認定者
- 日本FP協会のCFP資格審査試験の合格者
FP1級では学科試験に合格しないと実技試験を受験することはできません。
また、日本FP協会のCFP資格審査試験を受けて合格すれば、学科試験が免除されて実技試験のみでFP1級を取得することもできます。
事前知識
2021年5月にFP3級、2021年9月にFP2級を受検し、合格しています。
直近で2024年10月開催の宅建試験に合格しているため不動産分野はアドバンテージがありましたが、それ以外の分野については約4年振りのFP試験で相当知識が抜けていましたので、一から覚え直すつもりで勉強を始めました。
勉強期間
2025年5月開催の学科試験を見据えて、2024年12月中旬から勉強を始めました。
学科試験はおよそ5か月間の勉強期間でしたが、約4年間のブランクと2~4月にかけて仕事が繁忙期だったことを鑑みると、12月中旬スタートではギリギリの勉強期間だったと思います。
使用教材・サイト
教材
TACが出版している参考書です。FP2級・3級でも同じシリーズを使用しました。FP1級では別の参考書も人気のようですが、FP2級・3級で個人的に使いやすかったため、FP1級でも同じシリーズを使用しました。
④1級FP技能検定 実技試験(資産設計提案業務)精選過去問題集
日本FP協会の実技試験に対応しているほぼ唯一の参考書です。日本FP協会で実技試験を受験する場合は本書がマストになるかと思います。
サイト
FP3級試験、FP2級試験、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験、宅地建物取引士試験でも活用させていただいた神サイトです。
解説もしっかりしていて非常に役立ちます。
FP1級では学科試験の基礎編・応用編に対応しています。今回も本サイトを使い倒すことで合格することができました。
FP1級ドットコムは他試験のサイトと違って有料のメンバーシップに登録しないと解説を読むことができません。
メンバーシップは月払いで1,000円程度ですが、その価値は十分あると感じました。
また、メンバーシップ特典で日本FP協会の実技試験の過去問PDFがダウンロードできる点も非常に助かりました。
FP1級の実技試験に関する情報が少ない中で、日本FP協会の実技試験の過去問を解説している神サイトです。
きんざいの実技試験の過去問も解説されています。
勉強法(学科試験)
FP2級・3級と同じで、基本的には教材①・②の教科書を通読し、教材③の問題集で該当箇所の問題を解くというスタイルです。
教科書を読んでインプットしたら、該当する箇所の問題を解いてアウトプットを必ず行い、インプットとアウトプットを必ずセットで行うようにしました。
テキストの周回開始日は以下のとおりです。
1周目開始日:12月15日~
2周目開始日:2月2日~
3周目開始日:4月3日~
4周目開始日:5月6日~
ご覧のとおり、本番が近づくにつれ周回サイクルを短サイクル化しています。これは試験日に照準を合わせて全分野の知識が抜け落ちないようにするためです。
最終的に教材①・②の教科書は4周、教材③の問題集は2周しました。資格試験では基本的に教科書は最低3周するように心がけています。
また、今回のFP1級に関しては教科書の1,2周目では教材③の問題集でアウトプットを行い、3,4周目ではサイト①のFP1級ドットコムでアウトプットを行いました。
途中からメンバーシップに加入してFP1級ドットコムを使い倒す方がパフォーマンスが良いと判断し、アウトプットはFP1級ドットコム一本に絞りました。
今回は2~4月に仕事の繁忙期が重なってしまい応用編まで手が回らず、結果として5月に猛勉強して追い込む形となりました。
5月の試験前ラスト2週間の1日あたりの勉強時間は平日6時間、休日15時間と勉強漬けの生活を送る羽目になってしまい、家族にも負担をかけてしまいました。
問題集演習結果
教材③の問題集の周回ごとの正答率は以下のとおりです。
1周目
180問中94問正解 ⇒ 52.2%
- ライフプランニングと資金計画
30問中19問正解 ⇒ 63.3% - リスク管理
30問中15問正解 ⇒ 50.0% - 金融資産運用
30問中20問正解 ⇒ 66.7% - タックスプランニング
30問中13問正解 ⇒ 43.3% - 不動産
30問中15問正解 ⇒ 50.0% - 相続・事業承継
30問中12問正解 ⇒ 40.0%
2周目
180問中117問正解 ⇒ 65.0%
- ライフプランニングと資金計画
30問中22問正解 ⇒ 73.3% - リスク管理
30問中17問正解 ⇒ 56.7% - 金融資産運用
30問中23問正解 ⇒ 76.7% - タックスプランニング
30問中18問正解 ⇒ 60.0% - 不動産
30問中23問正解 ⇒ 76.7% - 相続・事業承継
30問中14問正解 ⇒ 46.7%
過去問道場演習結果
以下がFP1級ドットコムの過去問道場での演習結果です。
基礎編



基礎編については12/15からスタートし、4,806問を解いて70.7%の正答率で着地しました。
応用編


応用編については手が回らずギリギリの5/8からスタートし、2,198問を解いて74.6%の正答率で着地しました。
本番(学科試験)
2025年5月開催の学科試験を受けました。
学科試験は午前の基礎編150分、午後の応用編150分とかなり長丁場の試験です。
過去問演習では基礎編・応用編のいずれも150分かからずに解き終わるのですが、本番の緊張感などから解き終わるまで想定以上に時間がかかりました。
基礎編は初見の論点もいくつか出題されて最後の2択で迷う問題が多く、思ったように解き進まずに焦りました。
応用編は過去問を踏襲した問題が多く、基礎編よりも解きやすい印象でした。
ただし、過去問から設定を少し捻った出題がなされている印象を受けました。
問題文の注書きなどの細かい部分を見逃さない集中力が必要な試験です。
さすがに1級試験ということもあって、受験直後は「やっと終わった」という疲労感でいっぱいで、あまり手ごたえを感じませんでした。
結果(学科試験)
試験から約1か月後の7/2に合格発表がありました。結果は以下のとおり合格でした。
総合得点 151/200
基礎編 68/100
応用編 83/100
※総合得点と基礎編の自己採点結果を基に、応用編の点数を算出しています。

勉強法(実技試験)
学科試験の自己採点の結果、合格してそうな感触を得たため、早めに教材④1級FP技能検定 実技試験(資産設計提案業務)精選過去問題集(通称:緑本)を購入して実技試験の勉強を開始しました。
学科試験は合格率15%前後の試験ですが、実技試験は合格率80%越えの試験です。
そのため、学科試験ほど気合をいれずにゆるく勉強を開始しました。
勉強方法は、基本的に緑本の周回と年度ごとの過去問演習です。
古い年度の過去問は法改正などで解答が異なる場合があるため、まずは法改正対応済の緑本をやり込み、余裕があれば年度単位で過去問を解くように優先順位を付けました。
過去問演習時にはサイト①FP1級ドットコムのメンバーシップ特典でダウンロードした過去問PDFを主に使用しました。
また、過去問PDFには解説がないため、過去問を解いた際には、サイト②1級FP過去問解説の解説を参考にしました。
緑本やサイトの解説を読んでも知識があやふやだと思った部分については教材①・②の教科書に立ち返って知識の補充を行いました。
緑本の周回開始日は以下のとおりです。
1周目開始日:6月3日~
2周目開始日:7月26日~
3周目開始日:8月10日~
4周目開始日:8月25日~
5周目開始日:9月11日~
論述問題
日本FP協会の実技試験では300字程度の論述問題が1問出題されます。
これまでの出題テーマは以下のとおりです。
2024年9月:消費者契約法
2023年9月:個人情報保護法
2022年9月:税理士法
2021年9月:保険業法
2020年9月:消費者契約法
2019年9月:税理士法
2019年1月:金融商品取引法
2018年9月:金融商品販売法
2017年9月:保険業法
2016年9月:金融商品取引法
2015年9月:消費者契約法
2014年9月:税理士法
2013年9月:著作権法
2012年9月:金融ADR
過去の出題テーマを並べてみると分かるように、数種類のテーマが繰り返し出題されている傾向が読み取れるかと思います。
そのため、過去問を抑えておけば基本的に対応できると判断しました。
まずは模範解答を何度か写経して文章の流れや構成を掴み、その後出題テーマごとにまとめを作成しながらキーワードとなる単語を覚えていきました。
以下がテーマごとのまとめです。



緑本演習結果
緑本の周回ごとの正答率は以下のとおりです。
5周目には全問正解することができました。
1周目
216問中167問正解 ⇒ 77.3%
- ライフプランニングと資金計画
13問中12問正解 ⇒ 92.3% - 社会保障
55問中43問正解 ⇒ 78.2% - リスク管理
50問中42問正解 ⇒ 84.0% - 金融資産運用
22問中18問正解 ⇒ 81.8% - タックスプランニング
20問中13問正解 ⇒ 65.0% - 不動産
19問中13問正解 ⇒ 68.4% - 相続・事業承継
37問中26問正解 ⇒ 70.3%
2周目
216問中176問正解 ⇒ 81.5%
- ライフプランニングと資金計画
13問中8問正解 ⇒ 61.5% - 社会保障
55問中44問正解 ⇒ 80.0% - リスク管理
50問中41問正解 ⇒ 82.0% - 金融資産運用
22問中21問正解 ⇒ 95.5% - タックスプランニング
20問中14問正解 ⇒ 70.0% - 不動産
19問中19問正解 ⇒ 100% - 相続・事業承継
37問中29問正解 ⇒ 78.4%
3周目
216問中200問正解 ⇒ 92.6%
- ライフプランニングと資金計画
13問中10問正解 ⇒ 76.9% - 社会保障
55問中50問正解 ⇒ 90.9% - リスク管理
50問中48問正解 ⇒ 96.0% - 金融資産運用
22問中21問正解 ⇒ 95.5% - タックスプランニング
20問中17問正解 ⇒ 85.0% - 不動産
19問中18問正解 ⇒ 94.7% - 相続・事業承継
37問中36問正解 ⇒ 97.3%
4周目
216問中213問正解 ⇒ 98.6%
- ライフプランニングと資金計画
13問中12問正解 ⇒ 92.3% - 社会保障
55問中54問正解 ⇒ 90.9% - リスク管理
50問中50問正解 ⇒ 100% - 金融資産運用
22問中22問正解 ⇒ 100% - タックスプランニング
20問中20問正解 ⇒ 100% - 不動産
19問中19問正解 ⇒ 100% - 相続・事業承継
37問中36問正解 ⇒ 97.3%
5周目
216問中216問正解 ⇒ 100%
- ライフプランニングと資金計画
13問中13問正解 ⇒ 100% - 社会保障
55問中55問正解 ⇒ 100% - リスク管理
50問中50問正解 ⇒ 100% - 金融資産運用
22問中22問正解 ⇒ 100% - タックスプランニング
20問中20問正解 ⇒ 100% - 不動産
19問中19問正解 ⇒ 100% - 相続・事業承継
37問中37問正解 ⇒ 100%
過去問演習結果
過去問の演習結果は以下のとおりです。
論述を除いた問題数で正答率を算出しています。
2024年9月
8/23実施
39問中24問正解 ⇒ 61.5%
9/10実施
39問中35問正解 ⇒ 89.7%
2023年9月
8/10実施
33問中31問正解 ⇒ 93.9%
2022年9月
9/1実施
40問中36問正解 ⇒ 90.0%
2021年9月
9/2実施
40問中37問正解 ⇒ 92.5%
2020年9月
9/3実施
38問中38問正解 ⇒ 100%
2019年9月
9/4実施
36問中33問正解 ⇒ 91.7%
2019年1月
9/4実施
42問中36問正解 ⇒ 85.7%
2018年9月
9/6実施
35問中33問正解 ⇒ 94.3%
2017年9月
9/6実施
38問中32問正解 ⇒ 84.2%
2016年9月
9/13実施
41問中40問正解 ⇒ 97.6%
2015年9月
9/13実施
41問中40問正解 ⇒ 97.6%
2014年9月
9/8実施
43問中34問正解 ⇒ 79.1%
2013年9月
9/10実施
41問中32問正解 ⇒ 78.0%
本番(実技試験)
2025年9月開催の日本FP協会の実技試験を受けました。
緑本を完璧にした状態で臨みましたが、過去問から一捻りされた問題が出題されている印象を受けました。
2~3年前までは日本FP協会の合格率は高め(ほぼ100%合格)でしたが、難易度を少し上げてきんざいの合格率80%台へ合わせにきているような傾向に感じました。
気になっていた論述問題は個人情報保護法でした。
事前に対策をしてきた論点だったので、落ち着いて解答を作成できました。
試験直後は合格ラインには達しているだろうなという感触でした。
結果(実技試験)
試験から約2か月後の11/12に合格発表がありました。結果は以下のとおり合格でした。
得点 78/100



