「生きづらい時代のキャリアデザインの教科書」を読んでみた
はじめに
初めまして、Wiseです。(私のプロフィールはこちら)
今、日本の社会は大きな構造変化に直面しています。環境問題や災害、戦争の恒常化、円安・金利上昇など、いままで続いてきた日本経済の前提を覆すような構造変化が生じています。日本経済ははっきりと国力低下の時代を迎えており、「生きづらい時代」が始まっているといえます。
今回、「生きづらい時代のキャリアデザインの教科書」(大垣尚司著、日本経済新聞出版)という本を読んでみた結果、とても参考になったのでその内容についてご紹介したいと思います。「将来に対して漠然とした不安を抱えながら働いている」「今後のキャリアについて考えてみたい」といった方におすすめの記事です。
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本書の構成
本書では、以下の3つのパートに分けて、この生きづらい時代におけるキャリアデザインについて説明しています。
- キャリアをとりまく社会構造の変化
- キャリアを考えるためのヒント
- プチ幸福論-何のために働くのか
キャリアデザインとは
キャリアデザインとは、「これから、一生を通じてどんなことをして生きていくか、その過程でどんなふうに成長していきたいのか、あるいは何を幸せと位置付けるかといったことに考えをめぐらせること」ということ(本書P.25より引用)
キャリアをとりまく社会構造の変化
第1部では、仕事をめぐる経済・社会・企業の状況がどのように変わっているかを説明しています。
- これまでの日本にキャリアデザインは不要だった
- 人生100年時代となり、人生全体のキャリアデザインをしておく必要が出てきた
- 「メンバーシップ型」の雇用から、「ジョブ型」の雇用へ雇い方改革が起きている
- 経営者の成績は株価で決まるため、利益を出すために経費削減のインセンティブが働く
- ストックオプションが上場企業に普及したことで役員と従業員の関係性が変化している
- 「何を増やすか」という社会の目的が「お金」から「時間」に変わっていかねばならない
- もはや経済が成長しないことを前提にキャリアを考える必要がある
キャリアを変えるためのヒント
第2部では、「生きづらい」時代を生き抜くために仕事とどうかかわっていくかという作戦を立てるうえでのヒントが提供されています。
- 最初の就職先は以前と比べればそんなに深刻に考える必要はない
- 配属先は「ガチャ」なので最初で当たらなくても気にしない
- 最近は自分で育たないと育ちにくい環境になっていることから、自分から腐るのはあまり賢くない
- 就職活動においては、肌合いが合う企業を探すことが一番重要
- 他者志向の「勝ち気」から自己志向の「強気」へ意識をシフト
- 転職しやすい環境になってきているが、長く勤めるに越したことはない
- 50歳で会社にコミットし続けるかを考えて複線型キャリアに切り替える
- 副業は複線型キャリアの中に位置づける
- ジョブ型を導入することで表面的にはジェンダー指数は改善に向かうが、性差にかかわらずお金を稼いで、家事・子育ても頑張らないといけないしんどい社会になる
- 政治はキャリアと直接関係ないが、政治が不全だとキャリアデザインの在り方に大きな影響が及ぶ
- 会社の不祥事に対しては素朴な倫理観を大切にする
プチ幸福論―何のために働くのか
第3部では、この生きづらい時代にあって、何を幸福と考えるとキャリアとうまく付き合っていけるかについて書かれています。
- お金を幸せの尺度とする議論の立て方自体が不毛
- キャリアから得られる豊かさ、幸福度を「お金と時間」という異なる2つの軸から考える
- キャリアデザインはパートナーシップ単位で考える
- 家と住宅ローンに縛られない
- 心を病まないためには、「勝ち気ではなく強気で生きる」「気軽に話せる相手を持つ」ことが大切
おすすめする理由
①本音ベースで書かれている
本書では全体を通して、うわべだけの知識やきれいごとはいっさい抜きにした本音ベースで全てが語られています。若者へ本当に伝えたいことを伝えるという筆者の温かさを感じる内容となっており、とてもおすすめです。
②自助の視点
日本の社会が抱える数々の問題に対して、主張や理想論だけを振りかざすのではなく、現実はそう簡単には変えられないという前提のもと「自助の視点を持つ」という対応を提言しており、現実的だと感じました。
③お金の知識に関するコラムが豊富
キャリアとお金は切っても切れない関係にあります。筆者は金融分野の専門家であり、最低限知っておいて欲しい金融知識が要所要所にコラムとして掲載されています。こちらも本音ベースで書かれており、非常に参考になりました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。内容についてはざっくりとした概要しかお伝えできませんが、今後のキャリアを考える上でとても参考になるおすすめの本です。ぜひ読んでみてください!