20代・30代から始める「稼ぐ力」の鍛え方―「新規事業の実践論」の実践知

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はじめに

初めまして、Wiseです。(私のプロフィールはこちら

現代は「人生100年時代」と言われるようになりましたが、それに伴って私たちの働き方や生き方も見直さざるを得ない時代に突入しています。かつては「定年まで勤め上げれば安泰」という時代でしたが、年金や退職金だけではもはや十分とは言えない現実に、多くの人が気づき始めているのではないでしょうか。

私自身も、最近「このまま今の仕事を続けていていいんだろうか」と、ふと考えることが増えてきました。働き方が大きく変わりつつある中で、将来に向けて何かスキルを身につけたい新しいチャレンジがしたい、という気持ちが少しずつ芽生えている方も多いのではないでしょうか。

そんな中で今回ご紹介するのが、「新規事業の実践論」(麻生要一著)です。これからの時代に必要とされる「自分の頭で考え、価値を生み出す力」について、非常に実践的に書かれた一冊です。

副業や独立に興味があるけれど、何から始めればいいかわからない」「会社の枠にとらわれず、自分の力で何かを生み出してみたい
そんな方に、ぜひ手に取っていただきたい本です。

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本書の内容

本書は「人生100年時代」における自立したキャリアと収入源の確保という現実をまず指摘しています。著者は、「終身雇用・年功序列」の給与体系は完成度の高い仕組みだったが、それは「80歳前後で人生が終わること」が前提だったと指摘します。もし100歳、あるいはそれ以上まで生きることを前提にした場合、年金や退職金だけでは経済的に厳しい現実が見えてきます。

その状況を乗り越えるために必要なのが、「新規事業開発」の経験です。自ら考え、顧客を見つけ、価値を提供するというプロセスを通じて、個人として収入を生み出す力を育むことができます。

Will(意志)を原点に据える

新規事業を始めるには、まず「Will(やりたいこと・志)」を明確にすることが必要です。著者は、Willの形成には以下のような行動が効果的であると述べています。

  1. 現場に触れ、深く対話すること
  2. 本場を訪れ、強い刺激を受けること

これらの体験は、単なる思いつきではなく、自分の中から湧き上がる動機(原体験)を生み出し、新規事業の軸となるWillを鍛えてくれます。

Willは「現場に触れる」「本場を訪れる」といった体験の中から徐々に育つものであり、実体験に根ざしたWillこそが仮説をぶつけ続ける原動力になります。

 

成功の鍵は「仮説と検証」の300回サイクル

本書が特にユニークなのは、「顧客との対話を300回繰り返す」という極めて実践的なアプローチを推奨している点です。

つまり、新規事業においては

「仮説を立てる → 顧客にぶつける → 修正する」

というサイクルを300回まわすことが、成功の再現性を高める唯一の手段だというのです。これはスキルや才能に左右されず、誰でも実行可能な普遍的なプロセスです。アイデアを“当てにいく”のではなく、仮説を“削って磨く”ことが成功への近道なのだとわかります。

 

「Will」の強さが仮説変更の柔軟性を支える

著者は、仮説や手段に固執せずに何度でも軌道修正できる人こそが、新規事業を成功させられると強調します。大事なのは「手段」ではなく、「誰のどんな課題を解決したいのか」という強いWillです。このWillの強さこそが、仮説を何度壊しても立ち直れる源泉になります。

 

社内会議のリアルと攻略法

特に会社員の方にとって役立つのが、社内の新規提案会議をどう乗り越えるかという実践的なアドバイスです。

著者は社内会議の本質を、「決議したことを、上司に説明できるかどうか」であると明言します。つまり、いかに正しいかよりも前に“説明可能かどうか”が問われるのです。

そのための準備として著者は、以下の6点セットを挙げています。

  1. 数値ロジック
  2. 顧客の生の声
  3. リスクシナリオと撤退ライン
  4. 関連諸法規の提示
  5. 社内キーマン・社外権威者のコメント
  6. 空気を読んだ戦略図

この6点を揃えることで、どれだけ挑戦的な提案であっても、“潰されずに通る可能性”を高めることができるのです。

 

    おすすめする理由

    ①働き方を根本から見直すきっかけになる

    私たち20〜30代が直面するのは、「今のままの働き方で、本当にこの先も大丈夫か?」という不安だと思います。

    本書はその問いに対して、「だからこそ、自分で稼ぐ力を持っておくべき」という現実的なメッセージをくれます。

    副業や転職、独立を考える前に、一度立ち止まって考える視点を与えてくれる一冊です。

     

    ②特別な才能ではなく「やりきる回数」が力になると分かる

    新しい事業を起こすというと、アイデア勝負だったり、天才的なひらめきが必要なイメージを持ちがちですが、本書では「300回顧客のところに行く」という極めて地道な行動が最も再現性のある方法として紹介されています。

    これは、特別な経験がなくてもスタートできる励みになります。

     

    ③Will(やりたいこと)の見つけ方にヒントがある

    「やりたいことが分からない」と感じる人も多いと思いますが、本書ではWillは最初から明確にあるものではなく、現場に触れたり、自分で動いてみる中で育っていくものだと教えてくれます。

    とにかく小さく始めてみる、その一歩を後押ししてくれる考え方です。

     

    ④社内で企画を通すための“準備の型”が具体的に学べる

    本書では、数値ロジック・顧客の声・撤退条件・法規制・社内外の権威コメント・空気感を踏まえた戦略図の6つを“社内説得の必須セット”として実践的に紹介しています。会社の中で新しい挑戦をしたい人にも役立つ内容です。

     

    まとめ

    「今の働き方に少しモヤモヤしている」「何か始めたいけど、何をすればいいか分からない」という人にこそ読んでほしい一冊です。

    自分のWillを軸に、小さく動きながら、何度も仮説をぶつけていく。そうした地に足のついた実践が、これからの時代のキャリアの土台になるのだと思います。

    まずは1つ、自分なりの仮説を立てて誰かにぶつけてみる。そんな行動のきっかけとして、本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。