平成24年度 中小企業診断士二次試験 過去問演習(3回目)解答
独学での過去問演習時の解答です。
80分間で解答し、点数はふぞろい採点です。回数は当該事例の演習回数を表しています。過去問でこれだけ書ければ本試験で合格レベル答案が作成できるということの参考になれば幸いです。
事例Ⅰ:83点
事例Ⅱ:95点
事例Ⅲ:88点
事例Ⅳ:99点
合 計:365点(ふぞろい採点)
事例Ⅰ【83点/100点】
第1問【16点/20点】
海外生産体制の強化を迫られた取引先から海外進出に際し経済的支援が受けられること。
国内市場が停滞する一方で海外市場は経済成長が著しく、経済特区が存在すること。
第2問【15点/20点】
理由は①X社ほどの強い勧誘と経済的支援がY社にはなく②海外進出する上で国内パートナー企業との連携が困難で国内同様の品質保証体制が確保できず③Y社依存度上昇による経営リスク上昇を回避したためである。
第3問【15点/20点】
理由は①取引先企業の状況を考えた現場での絶えざるプロセス改善や②製品の異常を発見することに対する意識の醸成、③それに即座に対応する能力を継続的に育成・確保していく体制の構築に時間を要したためである。
第4問【20点/20点】
期待する役割は①現地生産現場のリーダー役、②本社との橋渡し役、③現地技術者の指導役である。向上すべき能力は、①コミュニケーション力、②教育・指導力、③マネジメント力である。
第5問【17点/20点】
留意点は、設計面で①部門間や従業員同士の連携を評価し②長期的視点で評価を行うことであり、導入面で①導入にあたりトップが十分な説明を行い社員の納得性を高め②評価者訓練を行い公平・公正な評価に努めることである。以上により社員のモラール向上を図る。
事例Ⅱ【95点/100点】
第1問【10点/10点】
製品戦略は①X市内消費者の嗜好の変化に合わせ発酵方法を見直しやや甘みのある味わいに既存製品を刷新した②全国向けに芋の香りを抑えた新製品をY社と共同開発した③県内向けにロック飲用に合うPBをZ社と開発。
第2問【30点/30点】
(設問1)
酒販店Z社のメリットは①プライベートブランドの開発により競合他社に対抗する手段を獲得でき②ロック向けという訴求内容が県内消費者から支持され、当該商品を目当てにした来店が増加したことである。
(設問2)
大手酒造メーカーY社のメリットは①伝統的製法という個性を持った高品質の芋焼酎を製品ラインナップに加えることができ②全国の飲食店の店主から高い評価を受け飲食店市場に対する営業成績が向上したことである。
第3問【28点/30点】
(設問1)
商店街を復興するため、X市向け製品の売上から一定額を商店街のイベント事業や商店街に店舗を出店しようとする店主達に対する新規出店支援事業に寄付している。
(設問2)
理由は①地元のX市の消費者との関係強化が図られたことで②地域に根ざした企業ブランドが強化され③顧客ロイヤリティが向上し、固定客化や客単価向上が図られたためである。
第4問【27点/30点】
商店街と連携し、X市内消費者に対しイベント会場での試飲会の開催やお祭りでの店舗出店、商店街店舗でのB社製品の販売を行い、商店街活性化と顧客関係性の強化を図る。
陶器製造業と連携し、X市内消費者に対し芋焼酎に合う陶器製容器を共同開発し、伝統的製法などのこだわりをラベルで訴求することで、売上の向上と地域経済の発展を図る。
事例Ⅲ【88点/100点】
第1問【8点/10点】
要因は①加工工程の見直しや加工技術の向上を行い生産性の改善を進め②販売品目を絞り少品種多量生産体制をつくり生産性の向上を達成したことで、③X社以外の食品スーパーや外食チェーンと取引拡大できたことである。
第2問【20点/20点】
課題は①多品種少量生産への対応②製品品種切り替え時の洗浄などの時間の短縮③在庫水準の適正化による欠品の防止である。改善策として①生産計画を週次化し確定注文に基づいて適正なロットサイズで生産し②洗浄等の作業の標準化・マニュアル化とOJTによる教育を行い③牛肉と豚肉を別設備で加工する。
第3問【39点/40点】
(設問1)
必要な対応は①盛り付け前までの事前加工を行うための生産体制を構築すること②国産牛を使用するためのトレーサビリティは個体管理を行うこと③前日発注・翌日全店直接配送を行うための納期体制や配送体制を構築することである。
(設問2)
必要な情報は①Y社の製品加工情報、②Y社からの発注情報、③製品のトレーサビリティに関する情報、④Y社の材料に関する情報、⑤Y社各店舗ごとの納品量、⑥Y社各店舗の住所である。
第4問【21点/30点】
①営業体制を強化し、営業部員がつかんだ顧客の製品ニーズを製品企画部で新製品として企画し、提案を行うことで売上の増加を図り、②洗浄等の作業を標準化・マニュアル化しOJTによる教育や多能工化を図ることで生産性を向上し、原材料費や人件費を削減を図ることで収益性を高める。
事例Ⅳ【99点/100点】
第1問【39点/40点】
(設問1)
(a)
売上高 391,000千円
売上原価 95,200千円
売上総利益 295,800千円
販売費・一般管理費 277,070千円
営業利益(損失) 18,730千円
営業外費用 24,360千円
経常利益(損失) △5,630千円
(b)
売上高 414,000千円
売上原価 100,800千円
売上総利益 313,200千円
販売費・一般管理費 279,730千円
営業利益(損失) 33,470千円
営業外費用 24,360千円
経常利益(損失) 9,110千円
(設問2)
①売上高営業利益率 8.08%
②売上高経常利益率 2,20%
③有形固定資産回転率 1.44回
(設問3)
1年目の差額税引後CF=-5,630+32,150+18,000=44,520(千円)
2年目以降の差額税引後CF=(9,110+32,150)×(1-0.4)+18,000=42,756(千円)
NPV=44,520×0.943+42,756×6.802×0.943-180,000=136,231.572...→136,232千円
よって、NPVが正であり投資すべきと判断できる。
第2問【30点/30点】
(設問1)
売上高=20×15,000=300,000(千円)
変動費=8.26×15,000=123,900(千円)
固定費=119,300+25,400+62,500×0.7=188,450(千円)
損益分岐点売上高=188,450÷(1-123,900/300,000)=321,039.182...→321,039(千円)
損益分岐点比率=321,039/300,000×100=107,013%
(設問2)
損益分岐点売上高=300,000×0.9=270,000(千円)
削減後の固定費=270,000×(1-123,900/300,000)=158,490(千円)
削減額=188,450-158,490=29,960(千円)
第3問【30点/30点】
(設問1)
WACC=114,575/572,875×0.05+458,300/572,875×0.04×(1-0.4)=0.0292
FCF=(-13,490+16,000)×(1-0.4)+25,400=26,906(千円)
企業価値=FCF/WACC=26,906/0.0292=921,438.3...→921,438千円
(設問2)
承継先として①D旅館の従業員、②同業者の周辺旅館、③旅行代理店が考えられる。留意点は①強みである細やかなサービスの提供や地元食材を用いた創作料理を維持すること、②従業員の雇用を維持すること、③従業員や取引先へ事前に説明し理解を得ること、④企業価値を向上し承継先にとって魅力を高めること、⑤負債や個人保証について整理しておくこと、⑥株式の売買方法について整理しておくことである。