値上げ交渉のやり方は「中小企業のための値上げ値決めの上手なやり方がわかる本」で学ぶ
はじめに
コロナ禍以降、原材料費、人件費、外注費、燃料費など、あらゆる物価上昇が続いています。
「値上げ」はトレンドワード入りするほど世の中に定着してきましたが、実際のところ値上げにまだ踏み切れていないという企業も多いのではないでしょうか。
今回は、「中小企業のための値上げ値決めの上手なやり方がわかる本」(西田雄平著、日本実業出版社)という本を読んでみた結果、とても参考になったのでその内容についてご紹介したいと思います。「値上げ交渉の具体的なやり方を知りたい」といった方におすすめの記事です。
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値上げ交渉の4つのポイント
本書では、値上げを成功させるポイントを以下の4つとしています。
- 正確な原価を把握する
- 利益一覧表をつくる
- 値決めに心血を注ぐ
- 全社一丸で取り組む
正確な原価を把握する
値上げ交渉の第一歩は、自社の商品やサービスの正確な原価を把握することです。
商売の基本は原価よりも高く売ることですが、正確な原価を把握している企業は非常に少なく、あいまいな原価で商売をしている場合がほとんどです。
正確な原価とは、「製品1個あたりの生産や販売に費やした材料費、労務費、減価償却費などすべての経費を合計した値」を指します。
つまり、材料費や加工費だけを原価とするのではなく、間接費も製品1個あたりに配賦して計算することが必要となります。
利益一覧表をつくる
正確な原価を把握したら、利益一覧表を作成します。
利益一覧表とは、どの取引先がいくら儲かっていて、どの製品がいくら儲かっているのかを、リスト化し順番に並べたものです。
重要な点は、「粗利」ではなく「全社利益」で考える点です。
「粗利」で判断してしまうと、計算されていない諸々の費用が含まれてしまっているため、誤った判断を行ってしまいます。
正確な原価から全社利益を算出することで、全体最適の視点から意思決定を行うことが出来るようになります。
値決めに心血を注ぐ
利益一覧表を基に、値決めを行います。
値決めの基本姿勢は、次のとおりです。
- 売価は全社原価に対して、適正な利益を乗せた値とする
- 売価ゾーンを明確にし、その範囲内で売る
- 売価ゾーンのなかであっても、できる限り安売りはしない
- 売価ゾーンから外れて売る場合は、“赤字を見える化”しておく
- 売価ゾーンから外れて売る場合は、“特別価格ルール”を回す
この基本姿勢で仕組みを作り、値上げ交渉への入念な理論武装や社員教育を重ねていきます。
全社一丸で取り組む
値上げ交渉には、全社一丸で取り組むことが重要です。
利益一覧表で「粗利」ではなく「全社利益」で判断していくためには、正しい原価計算をする仕組みづくりが必要です。
そのためには、部門横断的なプロジェクトを立ち上げるなど、現場部門を巻き込んで全社一丸で取り組んでいくことが肝要です。
おすすめする理由
本書では収益改善コンサルティングで筆者が実際に行っている値上げ・値決めの手法が掲載されています。
どれも具体的で実践的な内容が載っているため、自社で試すことができます。
また、中小企業の実態を踏まえた手法が掲載されているため、理想論ではなく現実的に役立つ内容だと感じました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。内容についてはざっくりとした概要しかお伝えできませんが、実践的で参考になるおすすめの本です。ぜひ読んでみてください!