平成28年度 中小企業診断士二次試験 過去問演習(3回目)解答

中小企業診断士

独学での過去問演習時の解答です。
80分間で解答し、点数はふぞろい採点です。回数は当該事例の演習回数を表しています。過去問でこれだけ書ければ本試験で合格レベル答案が作成できるということの参考になれば幸いです。

事例Ⅰ:84点
事例Ⅱ:84点
事例Ⅲ:92点
事例Ⅳ:99点
合 計:359点(ふぞろい採点)

事例Ⅰ【84点/100点】

第1問【35点/40点】
(設問1)
要因は①独自で技術開発に取り組み印刷精度を向上させ蓄積してきた高度な印刷技術を活用でき②社員教育に注力し企画・デザイン力を強化・向上させたことで、他社と差別化を図れたことである。
(設問2)
要因は①事業間の関連性が薄い多角化により経営資源の分散を招き②強みである高度な印刷技術力や社員の企画力・デザイン力を活用できず、既存事業とのシナジーが見込めなかったことである。

第2問【33点/40点】
(設問1)
パイプ役の写真館が不在で一般消費者と直接接点を持ちアルバム需要を掘り起こす必要があるため、①配置換えした営業担当を教育し②顧客ニーズの把握と提案型の営業を行い、営業力を強化する体制作りに留意する。
(設問2)
理由は①経営資源の効率的活用により範囲の経済性を得るため②セクショナリズムを防止し情報共有を促進することで組織活性化を図るため③トップの負担を軽減し、環境変化に対して迅速な意思決定を行うためである。

第3問【16点/20点】
施策として①新卒社員や女性社員の積極的採用②短時間勤務などの多様な働き方の推進③新入社員研修などによる能力開発④公平・公正な評価制度に基づく成果主義的賃金の導入⑤権限移譲を行い、モラール向上を図る。

事例Ⅱ【84点/100点】

第1問【20点/20点】
最終消費者向けに特化し、国産丸大豆を原材料とし伝統的手法で作られた高価格帯のしょうゆ及びしょうゆ関連製品を同業他社の動きを見ながら追加投入し品揃えを充実させた。

第2問【23点/30点】
(設問1)
健康意識が高く食に敏感な女性や日本の伝統に興味のある外国人観光客をターゲットとし、回転率に応じて製品アイテムの絞り込みを行い、出荷数量が増加傾向にあるしょうゆ関連製品に集中する戦略を採る。
(設問2)
戦略は①飲食店での接客時にこだわりを訴求し直営店に誘導する②パブリシティによる観光情報誌やグルメサイト掲載を狙う③国外でも購入可能である点を説明することである。

第3問【19点/20点】
メリットと効果は、①店内での接客を通じて顧客関係性を強化でき固定客化を図れる点、②最終消費者のニーズを直接収集でき新製品開発に生かせる点、③観光情報誌やグルメサイトに取り上げられブランド価値が向上する点。

第4問【22点/30点】
(設問1)
Z社とのカニバリデーションを回避するために、鶏料理専門店の名称を冠したマルチブランド戦略を採用する。
(設問2)
①購入後のメールアンケートの実施とポイント制度の導入②B社製品を使用したメニューの紹介とレシピ投稿サイトの運営を展開し、顧客関係性を高めて固定客化を図る。

事例Ⅲ【92点/100点】

第1問【20点/20点】
(a)
X農業法人の子会社で規格外野菜を調達でき、関係性に注目した新たな取引の要望がある点。
(b)
効果的な生産管理を組織的に行えず限界利益がマイナスで、通年取引に対応できない点。

第2問【29点/30点】
対応策として①製造グループ全体の生産計画を立案し②限界利益を日常の管理項目とし③製造グループ全体で生産統制を行い④製造グループ間での作業員の柔軟な移動を行い⑤全体で原材料調達から出荷まで行う。以上により①単価低減と歩留まり向上による原材料費削減②共同出荷による荷造運賃削減③繁閑に応じた人員配置による労務費削減で収益改善。

第3問【18点/20点】
着目するクレーム内容は過半数を占めるカット形状不均一である。対応策として①作業方法の標準化・マニュアル化②OJTによる教育③刃物交換・研磨のルール化④日常点検の徹底を実施し、加工不良の低減により品質改善を図りクレームを削減する。

第4問【25点/30点】
一般消費者向けのカット野菜パック事業を提案する。理由は、①中小地場スーパーマーケットから要望があり、②設備投資が不要で現在の製造工程を利用できるからである。対応策として①衛生管理のルール化②衛生管理意識を高める教育を行い衛生管理レベルを高め取引先の要望に対応する。以上により工場の稼働率を高め通年取引に対応し収益拡大を図る。

事例Ⅳ【99点/100点】

第1問【24点/25点】
(設問1)
①売上高総利益率 48.62%
②有形固定資産回転率 1.77%
③流動比率 55.70%
(設問2)
収益性の悪化要因は顧客の節約志向と創作料理店の業績不振で、効率性の悪化要因は新社用地の取得で、安全性の悪化要因は短期借入金の増加である。

第2問【35点/35点】
(設問1)
税引前当期純利益 39
減価償却費 36
減損損失 56
営業外収益 △8
営業外費用 20
売上債権の増減額 △1
棚卸資産の増減額 △3
仕入債務の増減額 3
その他 13
小計 155
利息及び配当金の受取額 -
利息の支払額 △4
法人税等の支払額 △35
営業活動によるキャッシュフロー 116
(設問2)

(a)
土地
当初投資額
金額-320 現在価値-320
6年後の売却価値
金額320 現在価値226
建物・器具備品
当初投資額
金額-470 現在価値-443
6年後の売却価値
金額375 現在価値264
(b)
土地
当初投資額は現在価値と同額
土地は減価償却しないため6年後金額も同額
6年後現在価値320×0.7050=225.6
建物・器具備品
投資額の現在価値-470×0.9434=-443.398
6年後の金額470-19×5=375
6年後の現在価値375×0.7050=264.375

(a)69百万円
(b)
税引後キャッシュフローの増加分をxとすると
x×4.2124×0.9434+(320+375)×0.7050-320-470×0.9434≧0
x≧68.8... → 69百万円以上

第3問【15点/15点】
(a)
貢献利益=限界利益-個別固定費=49-40=9(百万円)
(b)
貢献利益がプラスであり共通固定費の回収に寄与しており閉店すると営業利益が減少するため閉店すべきでない。

第4問【25点/25点】
(設問1)
営業時間外の予約受付やネット上の露出増加により収益は増加するが、登録料や利用料、予約管理費が発生し費用も増加する。
(設問2)
①860百万円
損益分岐点売上高=430/(1-560/1,120)=860(百万円)
②18百万円低下
変動額=426/(1-0.494)-860=-18.1...→18百万円低下
③10百万円低下
変動額=430/(1-0.494)-860=-10.1...→10百万円低下