平成26年度 中小企業診断士二次試験 過去問演習(3回目)解答
独学での過去問演習時の解答です。
80分間で解答し、点数はふぞろい採点です。回数は当該事例の演習回数を表しています。過去問でこれだけ書ければ本試験で合格レベル答案が作成できるということの参考になれば幸いです。
事例Ⅰ:80点
事例Ⅱ:94点
事例Ⅲ:86点
事例Ⅳ:91点
合 計:351点(ふぞろい採点)
事例Ⅰ【80点/100点】
第1問【16点/20点】
背景は①製品の開発・製造に物理学や化学に関する専門的知識が不可欠で大学や企業の研究機関との共同開発の機会が増え②技術革新のスピードが速く製品ライフサイクルが短いため新技術や新製品の提案が取引継続に必要となり③官公庁の助成金が充実していること。
第2問【14点/20点】
理由は①依頼に応じて開発・製造に取り組んだため自社開発で強みの研究開発力を生かせず、②取引先の要望を超えるアイデアを提案できなかったため取引を継続できず単発的な仕事に終わってしまったからである。
第3問【13点/20点】
課題は①営業部門の人員を増員することで、営業力を強化すること②研究開発部門が担当している販売業務を移管し研究開発に専念させること③工学博士号をもつ社員を増やし研究開発力を強化することである。
第4問【17点/20点】
要因は①課長となった中途採用者の持つノウハウが活用でき製造プロセスの改善が図られ②工学博士号をもつ社員により製造設備の改良・開発が進められたことである。
第5問【20点/20点】
施策として①研究開発に関する権限移譲の実施②研究成果の長期的な視点での評価③大学や企業の研究機関との共同開発や研修の推奨④研究成果に応じた成果主義的報酬の導入を採り、モラールの向上と人材の定着化を図る。
事例Ⅱ【94点/100点】
第1問【25点/25点】
(a)
一般向けツアーは③の金のなる木に、海外研修ツアーは①の花形にそれぞれ該当する。
(b)
一般向けツアーと海外研修ツアーは④の負け犬に、介護付きツアーは②の問題児にそれぞれ該当する。
第2問【23点/25点】
戦略は①高齢者本人向けに介護施設でのチラシ配布や介護付きツアーの画像・動画の紹介を行い、②家族向けにSNSサイトで旅行記として紹介を行うことである。以上により口コミを誘発し、新規顧客を獲得する。
第3問【30点/30点】
(設問1)
売上構造はデシル1~3の総利用金額のシェアが53.1%と過半数を占める状態にある。そのため、重要顧客層は1世帯あたりの平均総利用額が50万円を超えるデシル1~3に属する顧客である。
(設問2)
要因はデシル1で3.90回、デシル10で1.09回と2.81回の差が生じている平均リピート回数である。そのため、ターゲットとすべき顧客像は①年に1回は旅行する旅行好きで②金銭にも余裕のある富裕層で③B社の固定客化が見込める顧客である。
第4問【16点/20点】
①海外旅行の介護付きツアーを開発する②支援・介護レベルの高い高齢者に対応できるよう介護付きツアーを改良することで、高付加価値化による客単価の向上を図る。
事例Ⅲ【86点/100点】
第1問【10点/10点】
強みは超精密加工と超小型加工の高い技術力と精密部品の一貫生産体制。弱みは経営面のX社依存体質と低い営業力。
第2問【20点/20点】
対応策は①事後保全を改め予防保全を行うこと②自動旋盤のメンテナンス方法を標準化・マニュアル化すること③設備オペレーターをOJTにより教育することである。以上により加工精度を向上し、歩留り改善を図る。
第3問【29点/40点】
(設問1)
メリットは①国内調達部品の生産集約化により稼働率が向上すること②業務移管により在庫管理や受注・発注業務のノウハウを獲得できること③X社顧客から直接情報を入手できること④業務委託料を得られることである。
(設問2)
改革として、①全工程の生産計画を立案し②確定発注情報を基に週次で生産計画を見直し③生産統制を徹底することで、ロットサイズ適正化と納品リードタイムの短縮を図る。また、④1か月の発注情報内示に合わせて資材調達計画を立案し⑤週次で定期発注を行い⑥品種ごとの在庫管理を徹底することで在庫を削減し多品種生産に対応する。
第4問【27点/30点】
①超精密加工と超小型加工の高い技術力や②精密部品の一貫生産体制、③世界市場で著名かつ高額な精密機器の構成部品の生産実績を活かし、国内外の精密機器メーカーに対し差別化戦略による販路開拓を行う。具体的には、営業部門を新設し提案型の営業を行うことで、高付加価値化による売上・収益の向上とX社依存度低下による経営の安定化を図る。
事例Ⅳ【91点/100点】
第1問【23点/24点】
①売上高総利益率 72.00%
お土産としての商品化や古くからの顧客が多く収益性が高い。
②有形固定資産回転率 1.11回
既存店の客足が落ち有形固定資産が過大で効率性が低い。
③自己資本比率 16.67%
自己資本が少なく借入依存体質で資本構成の安全性が低い。
第2問【22点/30点】
(設問1)
(a)
売上高=42,000×1.1=46,200
売上原価=10,500×1.1=11,550
売上総利益=46,200-11,550=34,650
販管費=19,500+3,000+6,500+(15,000÷5)=32,650
営業利益=34,650-32,650=2,000
予想税引後キャッシュフロー=2,000×(1-0.4)+3,000+2,000×0.4=5,000
(b)
売上高=42,000×1.05=44,100
売上原価=10,500×1.05=11,025
売上総利益=44,100-11,025=33,075
販管費=31,000
営業利益=33,075-31,000=2,075
予想税引後キャッシュフロー=2,075×(1-0.4)+2,000=3,245
(設問2)
平成26年度末に改装した場合の正味現在価値は
NPV=5,000×0.95+4,200×(0.91+0.86+0.82+0.78)-15,000×0.95=4,654…①
平成27年度末に改装した場合の正味現在価値は
NPV=3,245×0.95+4,200×(0.91+0.86+0.82+0.78)-15,000×0.91=3,586.75…②
①>②であり、平成26年度末に改装する。
第3問【30点/30点】
(設問1)
X 71.70%
Y 72.00%
Z 70.00%
(設問2)
限界利益は
X:5,300-1,500=3,800
Y:5,000-1,400=3,600
Z:5,500-1,650=3,850
一時間当たりの限界利益は
X:3,800÷0.4=9,500
Y:3,600÷0.6=6,000
Z:3,850÷0.5=7,700
よって、X>Z>Yの優先順で生産する
この時の生産量はX:10,000個、Z:4,000個、Y:6,000個
貢献利益は
X:3,800×10,000-18,000,000=20,000,000
Y:3,600×6,000-17,000,000=4,600,000
Z:3,850×4,000-17,000,000=△1,600,000
Zの貢献利益がマイナスのため、Zは生産しない。このときの生産量はX:10,000、Y:8,000、Z:0
営業利益は(3,800×10,000-18,000,000)+(3,600×8,000-17,000,000)-15,000,000=16,800,000(円)
よって生産比はX:Y:Z=5:4:0
(設問3)
(a)X:Y:Z=11:0:5
(b)
需要予測はX:10,000×1.1=11,000、Y:8,000、Z:4,000×1.25=5,000
この時の生産量はX:11,000、Z:5,000、Y:4,500
貢献利益は
X:3,800×11,000-18,500,000=23,300,000
Y:3,600×4,500-17,000,000=△800,000
Z:3,850×5,000-17,500,000=1,750,000
Yの貢献利益がマイナスのため、Yは生産しない。
営業利益は23,300,000+1,750,000-15,000,000=10,050,000(円)
営業利益が6,750,000円減少するため、提案を受け入れるべきではない。
第4問【16点/16点】
(a)
為替予約
(b)
メリットは、円安時に為替差損を回避できる点。
デメリットは、円高時に為替差益を享受できない点。
(a)
コール・オプションの購入
(b)
メリットは、円安時に権利行使により為替差損を回避でき、円高時に権利放棄により為替差益を享受できる点。
デメリットは、オプション・プレミアム分の損失が発生する点。